キッチンの仕事は深く、広い
料理に目覚めたマンマのニューフェースが、キャリア20年の「山猫バル」料理長に、キッチンの仕事のイロハなどを聞きました。
山猫バル | 料理長
千田 剛志
Takeshi Chida
1981年千葉県銚子市生まれ、札幌市育ち。料理人だった父の影響もあり、飲食の道へ。全国でレストランを展開する札幌の企業を経て、2021年に入社。
mountainman | ホール
成田 亮
Ryo Narita
1995年生まれ、苫小牧市出身。大学卒業後、建築業界に進むが、人と接することが好きだったことから飲食業へ転身。2021年、料理も勉強したいとマンマに入社。
専門学校出身者には
負けたくない(千田)
千田
成田くんは、マンマに来る前に働いていたお店でどんなことをしていたの?
成田
ホールがメインで、2年弱くらいお世話になり、店長も経験させてもらいました。そのうちに厨房での下準備や仕込みのことをもっと知りたくなり、他のお店ではどうなんだろうと思い始め、求人サイトでマンマが募集していることを知り、入社しました。
千田
僕も成田くん同様、料理の専門学校出身ではないんだ。父が料理人だったから、その影響もあってか、20歳の時に料理人になろうと決めて、大学を中退して現場に入ったんだよね。和食、フレンチ、イタリアンと、いろんなお店で働いた。そしていつも思ってた、「専門学校出身者には負けたくない」って。だから、「なんでもできないといけない」、「いろんなことを勉強したい」と、がむしゃらだった。
成田
フレンチの厨房の世界はキツイって聞きますが。
千田
鍋が飛んできたり、足で蹴られたりね(苦笑)。そうした時代に出会って、いまでも尊敬しているフレンチのシェフがいて、そのシェフからは「食材と対話しなさい」と教わった。いつもこの言葉を心にとめて仕事してる。
「山猫バル」は
仕込みのプロセスが多い(成田)
成田
食材と対話するとはどういう意味ですか?
千田
メニューがあって食材があるんじゃなくて、食材ありきで考えるというのかな。目の前にある食材には何が必要か? そこを出発点に考えることの大切さを伝えようとした言葉だと、僕は受け止めてる。
成田
奥が深いですねぇ。ところで「山猫バル」では、営業前の仕込み段階と営業中に行う調理の比率はどれくらいですか?僕が前にいたお店は、仕込みが8割でした。
千田
仕込みが7割、営業3割。
成田
ですよね。入社当初、「山猫バル」に配属され、ここは仕込みのプロセスが多いなぁと感じました。料理を学びたいと言う僕のような人に、たけしさんは何から教えてくれますか。
千田
まず、包丁使い。みじん切り、千切りができるようになったら、魚のおろし方、次に肉のそうじの仕方。そして、冷菜料理、ソースの仕込みと進む感じ。
成田
きめ細かく、ステップを踏んでいくんですね。
千田
中途半端なまま、先に進んでも身に付かないし。盛り付けも、イメージ通りに仕立てるのは難しいよ。他のお店に食べに行って学ぶことも大事だよね。
学びたいことがある人には
いい環境(千田)
千田
料理を本格的に学びたい、ワインを知りたいなど、成田くんのように学びたいものがある人にはマンマはいい環境。やりたいことはやらせてくれるから。
成田
欲張りなんですけど、僕はメニューづくり、特に原価計算や業者さんの発掘もやってみたいんです。
千田
いいと思うな。「山猫バル」では、できるだけ道産の食材を使うようにしているけれど、北海道は、冬期はとくに野菜の選択肢が狭まるから、時には全国のどこそこのあれを仕入れようとか、工夫しているよ。
成田
そうしたことにも参加できればいいなぁ。
千田
将来はこうなりたいとか、夢はあるの?
成田
ダイニングバーを経営したいんです、席数12くらいの。学生時代、バイトで初めて飲食の仕事にふれ、そこでお世話になった人への恩返しとして、その方の後輩が喜ぶような店を持てればと。
千田
いい話(笑)。僕は、2歳の子どもがいて、食育への興味が深まってきたのね。だから、食育に特化した施設を作って、そのそばで洋食屋さんをやりたい。
成田
いいなぁ。社長に話したら賛成してくれそう。でもその前に、僕にもいろんなことを教えてくださいね。